小さな政府とは、市場の競争を促して、経済を活性化し成長を図る仕組みのことです。
規制緩和が行われ、医療も市場原理に基づく考え方になりました。
今回は、財務省から診療報酬の改正について指針が示されました。
A 問題 1 借入金の返済が組み込まれていないこと。
2 コロナによるゼロゼロ融資の返済が始まっていないデータであること。
3 対象になる診療所は、コロナ支援の補助金が、セーフティネット救済
にあたることを知らなかったこと。
B 財務省
財務省から、診療所の経営に対して診療報酬改訂が提言されました。
具体的な内容
a 危惧
社会保険料は、現役の負担が3割を超えて、今後も上昇する見込みのために
医療、介護の保険料を抑制しないと、賃上げの効果を阻害してしまい
保険制度の維持が出来ないおそれを招くこと。
医療費は、2000年度から対比して、1、8倍に上昇しました。
従って、医療費の抑制に、医療機関の経営状況を踏まえて公定価格にすること。
医療の保険料率は、年間2、6%上昇していて、今後も上昇する見込みのため
保険料率を下げること。
b 病院の問題
患者数と、診療行為数の増加は、収入の増加に繋がり、公定価格の適正化を図ること。
従って、診療報酬は、合理化と適正化にする必要があり
加えて、診療所は良好な経営のため、報酬単価を下げること。
参照
公定価格とは
1939年 物価を固定させるために、物価水準を調整すること。
c 効果
医療費を下げることで、国民負担の軽減と医療機関の減収になり
事業分野を選択的に、利益、利便の面から行うことで
将来的に、保険料の上昇を抑制する。
―診療所への具体的な方針
診療所は、初診料、再診料の診療短歌を引き下げること。
また、病床確保、ワクチン接種支援により国の補助金は、5兆円に至る。
病床確保 4、9兆円
ワクチン接種 0、2兆円
コロナ関連は、医療機関の医療体制を図るために、この3年間で21兆円の
特別支援がされる。
例えば、人工呼吸器、ワクチン開発、治験など。
―診療所の経営状況
国民の医療費の内訳は、診療所が8兆円になり、医師の人件費は5割を占める。
診療所の年間の収益は、1、5億円の売上があり、医師所得は4千万円になる。
また、医療法人の診療所2、1万件の調査から
過去3年の利益率
2020年 利益率3%
2021年 利益率7、4%
2022年 利益率8、8% と上昇している。
一方で、2009年〜2019年の年間は、6〜7%で推移をしている。
更に、この過去2年間の診療所の収益性の高さと、剰余金を持ち積み重ねのために
診療所の単価の引き下げが必要になる。
診療所は、増加傾向にあり、医師の偏在対策として
診療所の開業医から、病院の勤務医にシフトすることで、偏在の改善が見込めること。
C 厚生労働省のヒアリング
厚生労働省のヒアリングについてです。
国民、患者に取り、身近であり安心、安全で質の高い医療の実現に向けた内容です。
昨今の物価の高騰、賃金のベースアップ、水道、光熱費の上昇
医療材料の高騰の対応についての問題です。
しかしながら、財務省の報告によると、財源不足によりコロナ加算を受けたので
病院経営は改善をしていると、見なされています。
コロナ加算が出来たのは、国公立の病院か、民間の入院の出来る大病院だけです。
中小規模の病院は、コロナにより外来患者の減少を招きました。
D 診療所の場合
対象になるのは、全国の診療所数の10万5千件、うち個人は4万件です。
コロナ関連の収益は、セーフティネットとしての医療事業になり
利益が、個人に帰属しない非営利でなければならないとのことです。
セーフティネットが働いたのは、コロナワクチン接種を受けた
国民全員でないでしょうか。
新たな感染症に対応したのは、使命感のある診療所が、医療を担った結果では
ないでしょうか。
参照
セーフティネットとは
経済的なリスクが発生しました場合、安心や安全を提供して保護をすること。
また、コロナ関連の支援は、過去3年の一過性の収益の数値です。
診療所の利益率は、それまでの過去10年は例年6〜7%単位で推移をしています。
特に、中規模病院へ補助金は、一ベッド病床43万/円で、5兆円規模でした。
財務から見れば、黒字経営としても、借入額が多くても単年で黒字になります。
従って、損益の利息の一部しか含まれていないのです。
診療所の経営者、医師は、収入が多くても、借入れの返済義務もあります。
更に、患者減少を伴い、緊急でコロナ融資を受けた診療所も多く
今年から返済の負担も生じます。
診療報酬を引き下げにすることで、患者にとり身近で安心して、受診が出来る
安全な質の高い医療が提供できるのでしょうか。
参照引用
内閣府
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je05/05-00201.html
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m23/dl/is2301_01.pdf
財務省
MIGA コラム「新・世界診断」
https://www.musashino-u.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00024388.pdf&n=2022_MIGAコラム%28松山先生2023.03.03%29_20230307.pdf
Ginza@140(経営) 財務省 診療改訂
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